「育児休業中の就労について」の基本的な考え方が令和2年12月に示されています

会社のほうでは人手不足の影響もあり、育児休業を取っている方に可能であれば1日だけでも出社して手助けしてもらいたい、という状況はありえますね。一方、法律上の話しでは、育児介護休業法では育児休業中に就労することは想定されていません。このあたりについて、どのように折り合いをつけるのか、対処療法的にならざる得ないような状況でしたが、一定の考え方が示されました。

今回示されたのは、育児休業中の就労は、労使の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することはできるということです。ただし、労働者が自ら事業主の求めに応じ、合意することが必要とされ、事業主の一方的な指示により就労させることはできません。

気になるところの雇用保険の育児休業給付金については、就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金が支給されますが、恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりませんので注意が必要です。

例示の一つとして、「労働者Cの育児休業期間中に、トラブルにより会社の基幹システムが停止し、早急に復旧させる必要があるため、経験豊富なシステムエンジニアであるCに対して、修復作業を事業主が依頼し、Cが合意した場合」などが挙げられました。

厚生労働省は、男性が育児休業をとりやすくするため、子どもの出生後8週間以内に、最大4週間の休みを取得できるなど、新たな制度の案を示しいて、令和3年の通常国会に法律の改正案を提出する方針ということですから、男性の育児休業中に会社が臨時的な勤務を求める可能性も増えそうですから、対応を考慮しておくことが望まれます。