会社の外で仕事をする機会がある人・・は、多いと思います。自分も会社員時代は地方の事業所に転勤していたとき、東京本社での会議に出るとか、異動で本社に戻ったら今度は大阪に出張するとか、札幌に日帰りで行くとか・・、いろいろと出て歩くことが多かった時期がありましたね。

事業場外労働はいろんなパターンがあって、それぞれをどのように処理するか、混乱しやすいです。

[就業規則の例]

第103条  従業員が、労働時間の全部または一部について、事業場外で労働した場合であって、労働時間を算定することが困難な業務に従事したときは、就業規則第55条に規定する所定労働時間を労働したものとみなす。

2 前項の事業場外の業務を遂行するために、所定労働時間を超えて労働することが必要な場合には、その業務については通常必要とされる時間労働したものとみなす。

3 労働基準法第38条の2第2項に基づく労使協定が締結された場合には、前項の事業場外業務の遂行に通常必要とされる時間は、労使協定で定める時間とする。

「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の適正な運用のために(厚労省H28年3月)より

第1項は「1日のうち会社の外で働いた時間がある日は、その日はトータルで何時間働いたか、労働時間の算定が困難なので、所定労働時間を働いたものとみなします」ということを述べています。ですから、そのようなときは残業はしなかったものとして取り扱うことになります。

まず、”労働時間の算定が困難”ということが問題となります。会社の外での仕事であっても上司の指揮監督の下に働いているような状態であれば、これに当てはまらない、と通達されていて、具体的に次のような3つの例が上げられています。

  1. 会社の外で数人で仕事をするときに、時間管理するリーダー的な人がいるとき
  2. ケータイ電話などで上司の指示を受けながら会社の外で働いているとき
  3. 会社で行き先、帰社時刻など当日の仕事の具体的な指示を受け、社外で指示どおりに仕事をし、その後会社に戻るとき

上記の3つの具体例にあてはまらず、事業場外労働のみなし労働時間制を用いることになった場合には、次の2×2=4パターンのいずれかで処理することになります。

 

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「全部が事業場外での勤務」は、出張や研修、直行直帰の営業などが考えられます。「一部が事業場外での勤務」は、朝会社に出社して打ち合わせの後、社外に営業に出るというのが実際には多いでしょう。この場合、夕方会社に戻って報告書や業務日報を作って帰宅するようであれば、「算定困難に当てはまらない例」の3に該当するので”労働時間の算定が困難”とはならず、みなし労働時間制は適用できない、と考えられます。

一部が事業場外での勤務で、上記の就業規則(例)の第1項「所定労働時間みなし」とするためには、会社の外で働く時間と、社内で働く時間を合計して所定労働時間に収まる場合に限られます。

「外」と「内」を合わせて所定労働時間で収まらないことが常であれば、「外」での通常必要時間を決めて、「内」で働いた時間数と合計したものがその日の労働時間数となります。このことを述べたのが就業規則(例)の第2項です。就業規則にこの第2項のような文章が載っていた場合、言葉少なで分かりにくいところがありますね。

就業規則(例)の第3項は、事業場外での時間数を労使で話し合って決めるほうが望ましいので、労使協定で決めたときはその時間数が事業場外での労働時間数とすることを述べています。

ですから、同じ会社の中に、第1項(所定労働時間みなし)もあるし、第2、3項(事業場外通常必要時間みなし+社内勤務時間)もあって、その人その時ごとにどれを用いて労働時間数を算定するのか難解ですし、実務上とても複雑かつ煩雑です。このため事業場外労働のみなし労働時間制を用いるのは、大変手間ひまかかる、という印象があります。

この大変手間ひまかかることを避けるためか?社外で仕事をする機会がある営業や配達の人を、誰でも彼でも、なんでもかんでも、「所定労働時間みなし」として取扱うことは、労使トラブルに結びつきやすいので気をつけたいですね。

労働基準法 第38条の2  労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす

もう一度条文を読んでみると、労基法38条の2本文では全部事業場外の場合は全労働時間を、一部事業場外の場合は事業場内と外の労働時間をトータルしたものを所定労働時間とみなす、ことが定められています。そもそも労働基準法は1日8時間を超えて働くことを認めていませんから‥。

しかしながら、事業場外での勤務と社内での勤務を合わせて法定労働時間(変形労働時間制でなければ1日8時間)を超えるようなことも現実には多くあるわけです。先にも述べましたが、この1日の法定労働時間を超えるようなケースについて但し書ではふれており、この場合のみなし労働時間は「当該業務」とされているように事業場外だけの部分であり、1日トータルの労働時間ではないことが、事業場外みなし労働時間制の解釈が混乱する理由の一つなのかもしれません。

なお、36協定届は「事業場外労働に関する協定で定める時間」の欄が付記された様式第9号の2というものも用意されています。