平成28年7月8日、毎日新聞「<遺族補償給付>歓送迎会後、残業へ戻る途中の事故死に認定」、7月9日の産経新聞「歓送迎会後、残業戻る途中で死亡事故、最高裁が労災認定」とあり、これらの見出しで何となく状況が分かりましたが、NHKの「飲み会後の事故は労災」という見出しは、いたずらに話題性を高めようとする意図が感じられ、ちょっと言い過ぎでは・・。

平成18年の労働基準局長通達 基発0331042(別紙)に、「就業」についての説明があります。これは通勤災害保護制度の対象となる事業場間移動の起点になる就業の場所についてのものです。

  • 『通勤災害』:労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡をいう。
  • 『通勤』:労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路方法により行うこと。
  • 『就業の場所』:業務を開始し、又は終了する場所をいう。
    具体的な就業の場所には、本来の業務を行う場所のほか、物品を得意先に届けてその届出先から直接帰宅する場合の物品の届け先。全員参加で出勤扱いとなる会社主催の運動会の会場等がこれにあたる。

『就業に関し』:移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要とする趣旨を示す。業務に従事することになっていたか否か、又は現実に業務に従事したか否か

A.【業務と認められること】

  1. 所定の就業日に所定の就業場所で所定の作業を行うこと
  2. 事業主の命によって物品を届けに行く場合
  3. 本来の業務でなくとも、全職員に参加が命じられ、これに参加すると出勤扱いとされるような会社主催の行事に参加する場合等
  4. 事業主の命をうけて得意先を接待し、あるいは、得意先との打合せに出席するような場合
  5. 会社のレクリエーション行事であっても、厚生課員が仕事としてその行事の運営にあたる場合
  6. 労働組合に雇用されていると認められる専従役職員が、労働組合大会に出席するような場合

B.【業務とならないこと】

  1. 休日に会社の運動施設を利用しに行く場合
  2. 会社主催ではあるが参加するか否かが労働者の任意とされているような行事に参加するような場合
  3. 事業主の命によって労働者が拘束されないような同僚との懇親会、同僚の送別会への参加等
  4. 労働組合の組合員が労働組合大会に出席するような場合

新聞記事によれば、上司が企画した中国人研修生の送別会に出席を頼まれ、忙しい中、遅れて掛けつけ、酒を飲まずに、その後会社に戻り仕事をしなければならず、会社に戻る途中に上司に変わって中国人研修生を自宅に送り届ける途中での事故であったそうです。

労災と認定されるのが当然と思えますが、上記の「Bの3」に、「事業主の命」とあるのが引っかかったのでしょうか?。この事件は、「上司」の企画した送別会への参加を「上司」が指示していますから・・、「事業主の指示命令」ではないですね。この通達文をそのまま解釈すると、社長が命じた送別会参加でなければ業務と認められないことになりますね。

この度の最高裁判決を受けて、「Bの3」の「事業主の命」という文言を、「使用者の命」に改められたらどうでしょうね。それにしても、NHKの「飲み会後の事故は労災」という言い方が誤解を招きそうで気になります。