先週末(H28.5.14)の新聞に「定年後再雇用された嘱託社員が、定年前と同じ仕事をしているのに、給与や賞与が引き下げられたのは労働契約法20条違反だとして会社を訴えた訴訟の判決が出て、嘱託社員側の主張を全面的に認め会社側に損害賠償をするよう命じた。」との記事がありました。

衝撃的なこの判決によって、定年後の給料を6割程度に引き下げている多くの会社は、定年後再雇用制度の見直しを行わなければならなくなる‥可能性が出てきましたね。

(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第20条  有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

被告会社は運送業とのことでしたので、平成27年の賃金構造基本統計調査から[運送業・郵便業の小企業]と[製造業の大企業]の男性、年齢階層別の賃金の推移をグラフにしてみました。

unnyu001

オレンジ色のラインが被告会社が含まれそうな業種・規模ではなかろうか、と推定して‥、定年後に給料3割減だとするとグレー色のラインが枝分かれします。このグレーの水準の給料で定年前とまったく同じ仕事を行わせるのは‥、確かに不合理だと感じます。

さて、ブルー色のラインは製造業の大企業ですが、今やっている仕事に対して給料を払っているのならば、定年前までかなりの角度で右肩上がりに給料が上がり続ける理由は何でしょう?これが果たして合理的なのでしょうか。

これはおそらく仕事とは直接は関係のない生計費を重視した生活給思想による恩恵ではないでしょうか。とすれば、このような上昇カーブを描く給料体系では、ほぼ子育てを終えたであろう(生計費が少なくてすむようになったであろう)定年時に給料を大幅に下げることも、この体系の中では合理性ありと思えるのです。

しかし、オレンジ色のカーブには生計費に配慮した生活給思想はまったく感じられませんから、同じ仕事でありながら、定年を理由として賃金を3割ダウンすることには確かに合理性があるように見えないですね。

判決理由は、これから明らかになるのでしょうが、まずは新聞記事を見てこんなこと思いました。