会社の人事労務担当者の「生活保護と社会保険の基礎知識」

たとえばこんなケース・・・、
「これまで短時間パートで働いていた人が、契約内容が変わって週30時間以上働くことになり、会社で社会保険に入ることになったが、聞いたところによると生活保護を受けているらしいが手続きを進めても問題はないだろうか?」

会社の人事労務担当者の「生活保護と社会保険の基礎知識」

【生活保護の利用】 世帯の最低生活費と収入を比べて、収入のほうが少なければ「保護要」となって最低生活費に足りない分だけ現金や医療などの現物で支給される。収入のほうが多ければ「保護不要」となり生活保護は利用できない。

【保護受給者の報告義務】 生活保護受給者は、「収入の状況に変化があったとき」には届け出しなければならず、本人は福祉事務所等にその旨を申告しなければならない(会社の社会保険に加入した場合はその旨も)。

【給料と保護費の関係】 収入が増え、保護を要しない状態となった場合・・・、

  • 一時的なもので概ね6ヵ月以内に再び保護を要する状態となることが予想されるときや、保護を要しない状態と確実に言えない場合は「保護停止」となる。
  • 安定して保護を要しない状態が6ヵ月以上続くと見込まれる場合は「保護廃止」となる。

【医療扶助と健康保険】 会社の健康保険に加入している本人とその被扶養者は、生活保護を利用することで資格を失うことはなく、健康保険で7割給付、自己負担分の3割が生活保護の医療扶助の対象となる。この場合、「健康保険証」とそれに対応した「医療券」を持って受診する。

【生活保護と国民年金】 生活保護法による生活扶助を受ける国民年金の第1号被保険者は、届け出ることで保険料が全額免除(法定免除)となる。(会社で社会保険に加入すると国民年金の第2号被保険者となるので、上記は該当しない。)

以上のことから、社会保険の加入ルール(いわゆる正社員の4分の3以上の時間就労するパートタイマーは社会保険の被保険者となる)に沿って、生活保護の受給の有無に関係なく、会社ではいつものとおり手続きを進めればよいですね。