労災保険の通称:指定病院変更届は、治療を受けている指定病院を別の指定病院に変更するとき、後のほうの病院に提出しますね。この様式についての説明は案外少なくて、この届出は指定病院を変更するときに出します…くらいの説明しか見当たりません。

【労災保険療養(補償)給付の手続き 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署】shiteibyoin_henko001

●指定医療機関を変更するとき

すでに指定医療機関等で療養の給付を受けている方が、帰郷などの理由で他の指定医療機関等に変更するときは、変更後の指定医療機関等を経由して所轄の労働基準監督署に、「療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届」(様式第6号)または「療養給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届」(様式第16号の4)を提出してください。

やっぱりこれだと説明が足りないんじゃないかなぁ、と思ったりします。というのも、一度の業務上災害で二つ以上の病院に並行して掛かることがありえるからです。たとえば、食品製造をしている会社の厨房で、ガスコンロに火を点ける際にコンロ付近にガスが溜まっていたことに気づかず点火してしまい、大きく炎が上がり顔に火傷を負ってしまった、というような事故の場合、火傷を診てもらう外科の指定病院と、目にも炎を浴びてしまったので眼科の指定病院にも掛かることがあります。

この場合、最初に外科に掛かっていれば、その外科の病院には「療養補償給付たる療養補償請求書(様式第5号)」を出し、後の眼科には6号を出します。この書類を作るとき何かモヤッとするのは、“変更しちゃったら・・・もう外科には行けないのかなぁ”ということです。しかし、そのようなことはなく並行して療養を受けることはできます。
6号の用紙をよく見ると、変更はカッコ書になってますね。カッコって何よ、ということですが、

昭和38年 文部省発行「国語標記の問題」( )カッコの準則

1.カッコは注釈的語句をかこむ。
2.編集上の注意書きや署名などをかこむ。
3.ヨコガッコは箇条書の場合、その番号をかこむ。

指定病院等(変更)届の( )カッコの使われ方は、このどれにもあたらないと思いますがどうでしょうか。ただ・・カッコを使う意味は明確には決まっていない、ということは分かりました。そこで、6号の表題にある(変更)の解釈ですが、これは変更のときにも使える用紙、ということではないでしょうか。ですから、本来は療養のためにどこの指定病院に掛かるか、を届け出する用紙だけれども指定病院を変更するときにも使っていいよ、と考える方がしっくりきます。

さて、前述の例のケースでは、眼科を指定病院としましたが、眼科で労災指定になっているところはほとんどないですから、実際には後で掛かった眼科の分は、「療養補償給付たる療養の費用請求書」(様式第7号)で手続きすることがほとんどです。
病院が二つになると、院外薬局も二つになることが往々にしてよくあります。一つ目も二つめも、両方とも労災指定の薬局だったならば、先の薬局に5号、後の薬局に6号ということになります。

思い出されるのは、同じように書類の表題に( )がある「健康保険被扶養者(異動)届及び国民年金第3号被保険者にかかる届書」がありますね。こちらのほうは、日本年金機構のwebサイトでは、従業員が家族を被扶養者にするとき⇒健康保険被扶養者(異動)届、従業員の被扶養家族に異動があったとき⇒健康保険被扶養者(異動)届、というように二つの出来事をそれぞれ記載して、同じ届書を掲載していますから理解しやすいように思います。

労災保険の通称:指定病院変更届は、通称がその届出書の利用目的を分かりにくくしているような気がします。ただ・・そう呼ぶしかないのは、普通は「ロクゴウ」と言われても、「あ~、大田区のほうの土手ですネ」と言われるのがオチですから