従業員の新型コロナワクチン接種に企業ごとにさまざまな対応

新型コロナワクチン接種が本格的に動き始め、新聞やテレビでもこの話題を目にしない日はありません。わたしのところにも昨日、市役所からワクチン接種のクーポン券が送られてきて、予約開始日を待っているような状況となりました。

6月29日の茨城新聞に会社ごとに社員がワクチン接種に行く場合の対応についての記事がありました。

  • 不動産のA社では、お客さま商売なので、(従業員が)休みを取らないまま接種して体調が悪くなるといけないために、全従業員の約260人に対し、接種当日に取得できる最大2日間の特別休暇を設けた。担当者は「(従業員には)安心して休んでほしい」と話す。
  • 家電量販店大手のB社は、全従業員の約1万5千人を対象に接種時や副反応発生時に最大3日間の特別休暇を取得できるようにした。さらに勤務時間中にワクチンを接種した場合は勤務扱いにするという。
  • ソフト専門店を展開するC社は、職域接種の実施に伴い特別休暇を導入する。全従業員の約2500人を対象に、職域接種が始まる7月1日から最大3日間の特別休暇を設ける。
  • D銀行は、全従業員の約5千人がワクチン接種や副反応の発生に加え、家族のワクチン接種の付き添い、家族の副反応の発生に伴う看病のときでも特別休暇を付与する。
  • E銀行も全従業員の約2千人に対し、同様の特別休暇を設けた。両行とも上限の日数は設けておらず、就業時間中にワクチンを接種する場合は勤務扱いにする。

通常はノーワーク・ノーペイとして、勤務中に接種に行く場合は給与を控除するようになるとはいいながらも、会社として何らかワクチン接種を推奨する姿勢を見せたい、との思いがあるのではないでしょうか。こういった対応を検討する際に参考となるよう、厚労省の「新型コロナウイルスに関するQ&A」に取扱いに関しての考え方が載せられています。

厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A」(企業の方向け)
問20) 自社に勤める労働者が新型コロナワクチンの接種を安心して受けられるよう、新型コロナワクチンの接種や接種後に発熱などの症状が出た場合のために、特別の休暇制度を設けたり、既存の病気休暇や失効年休積立制度を活用したりできるようにするほか、勤務時間中の中抜けを認め、その時間分終業時刻を後ろ倒しにすることや、ワクチン接種に要した時間も出勤したものとして取り扱うといった対応を考えています。どういった点に留意が必要でしょうか。

<ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱い>

職場における感染防止対策の観点からも、労働者の方が安心して新型コロナワクチンの接種を受けられるよう、ワクチンの接種や、接種後に労働者が体調を崩した場合などに活用できる休暇制度等を設けていただくなどの対応は望ましいものです。
また、①ワクチン接種や、接種後に副反応が発生した場合の療養などの場面に活用できる休暇制度を新設することや、既存の病気休暇や失効年休積立制度(失効した年次有給休暇を積み立てて、病気で療養する場合等に使えるようにする制度)等をこれらの場面にも活用できるよう見直すこと、②特段のペナルティなく労働者の中抜け(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認め、その分終業時刻の繰り下げを行うことなど)や出勤みなし(ワクチン接種の時間につき、労務から離れることを認めた上で、その時間は通常どおり労働したものとして取り扱うこと)を認めることなどは、労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであり、一般的には、労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられることから、就業規則の変更を伴う場合であっても、変更後の就業規則を周知することで効力が発生するものと考えられます(※)。
こうした対応に当たっては、新型コロナワクチンの接種を希望する労働者にとって活用しやすいものになるよう、労働者の希望や意向も踏まえて御検討いただくことが重要です。
※ 常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合、就業規則の変更手続も必要です。