入社時の提出書類とされている(ことが多い)「身元保証書」ですが、新規採用者にこれを出していただくことの意味は、おおむね次の三つと考えられます。

【身元保証人をつけることの意味として通常考えられること】

  1. 会社の損失補てん
  2. 従業員の不正抑制
  3. 従業員の人物補償

会社が求める身元保証人は、誰でもよいわけでなく、実際にはいくつかの条件を満たすことを求めていることが多いです。

【身元保証人の選定条件の事例】

  1. 身元保証人の年齢、収入、資産等に問題がないこと
  2. 身元保証人の意思確認のため印鑑証明の添付が必要
  3. 身元保証人は複数(私見ですが2人というのを結構見ます)

世の中にはこの3つを厳格に運用している会社もあるかもしれませんが、これはなかなかハードルが高いですね。新卒で18歳~22、23歳くらいで入社する人は、親御さんやその親戚関係でなんとかなる?!かもしれませんが、50歳で社会人経験が長い人を中途採用する場合、親御さん及びその周辺の方々もかなり高齢ですし、身元保証人をお願いするのもけっこう難しい状況では?と思えてなりません。

わが国の企業社会の慣行ともなっている身元保証書ですが、この契約は従業員本人と会社との契約でなく、身元保証人と会社との契約です。その契約の期間については、次のようになっています。

【身元保証の期間】

  1. 期間を定めなかったときは3年(身元保証法2条)
  2. 期間を定めたときは最長5年(同上)
  3. 期間を定めたときの自動更新規定は無効、満了時にあらためて更新契約が必要(判例)

過去の判例から自動更新は無効と考えられていますが、満了時にあらためて契約することを拒まなければズ~ッと可能と考えられます。

珍奇な身元保証書の文面としては、‥「身元保証人は、身元保証期間の満了時となる5年後の3ヵ月前までに、書面で会社に身元保証をやめることを伝えなければ、次の5年間について自動更新する」というのを見ました‥驚き!です。

身元保証に関する法律では、次の二つの場合には会社が身元保証人に通知を行う義務があることを定めています。また、身元保証人はこの通知を受けたとき、あるいはその事実があったことを知ったときは、身元保証を解除できる、とされています。

【身元保証法3条による会社の身元保証人への通知義務】

  1. 本人(従業員)に不適切または不正行為があった場合
  2. 本人(従業員)の職務内容または勤務場所が変更になった場合

会社に、身元保証人が「そんな遠くに勤務地が変わった人の身元保証はもうできません」とか、「最近、日曜日にギャンブルやるようになったので身元保証しません」と言った場合、会社は本人に別の人を捜せと命じ‥る、のかな?と色々と素朴な疑問が生じますね。 ちなみに、私の身近な会社には、「身元保証書は必要ないので採用時にも提出させていない」というところもあります。

さて、こうしてあれこれ考えてみますと、冒頭の【身元保証人をつけることの意味として考えられること】の1と2よりも、3の「従業員の人物保証」としての在り方をメインに身元保証書の内容、文面、依頼の仕方などを再考してみる必要があるようですね。たとえば、入社した当初、健康に問題はなかったが、長年の勤務を経て何らかの傷病により休職せざるをえなくなるようなことは誰にでもありえます。その際、会社と本人が将来について話し合う必要が生じ、身元保証人に本人と会社の間に入ってもらって話しを円滑に進める等、軽視できない役割を担っていただく可能性があります。こういった面を考慮せずに、延々と‥「連帯して損害賠償をする義務のみを‥高圧的に強調した前時代的な身元保証書は、‥すでに時代遅れとなっている。」というのが再考してみたところの自分なりの結論です。

労働者が会社に損害を与えた場合の損害賠償を補償する身元信用保険

春一番が吹いた日‥そろそろ4月の新社会人スタートを控えて身元保証書が気になる時期