武蔵野市のコンビニ店舗が、風邪で休んだ女子高生アルバイトから罰金をとっていたとのこと。実際に働いた23,375円から、9,350円<時給935円×風邪で休んだ2日(10時間)分>をペナルティーと称して給料から差っ引いた、という・・。しかも、その理由が「風邪で欠勤するのに代わりの人を捜せなかったから・・」。

もともとシフトが入っていたと思われる35時間分をその月の給料、と考えれば・・32,725円、そこから欠勤した2日分9,350円を控除して、支給額23,375円ならば、ノーワーク・ノーペイの原則どおりですから問題ないですね。
しかし、実際に働いた25時間分の基本給23,375円からペナルティー9,350円を差し引いた、というのが大問題となっています。懲戒として減給する場合は、労基法91条(制裁規定の制限)がありますから、給与計算期間1ヵ月に実際に働いた23,375円の10%が減給の制裁の上限です。懲戒として減給できるのは2,337円以下でなければならないことになります。

しかし・・これ、懲戒事由はいったい何でしょうね? 以下に、この会社の就業規則の内容はわかりませんが、一般的な規定例を掲げておきます。

ほとんどの会社では、欠勤するときに事前に連絡を入れないのがダメなわけで、欠勤するときは事前にちゃんと連絡を入れてください、と一般的には規定されています。今回のケースでは、風邪で欠勤することをセブンオーナーに電話連絡していますから、一般的な服務規律から考えれば違反はなく、懲戒事由にも該当しない、ものと思われますから懲戒はできないはずです。

給料明細書とペナルティー内容が書かれた付箋がweb上で公開されていましたからよく見てみると、明細上は減給していません。支給額として実際働いた分が記載されていました。ということは、ペナルティー付箋が問題で、これは「違約金」にあたると考えるのが妥当ではないか、と思います。違約金は、労基法16条(賠償予定の禁止)で行ってはならない、とされています。

明細上は減給していませんが、手書きの付箋でペナルティーを徴収していますから、考えられるのは賃金の全額を渡さず、相殺したうえで差額を支給しているのではということです。相殺して払うというのは、もちろん賃金の全額を払っていませんから、労基法24条(賃金の支払)にも違反です。

  • 労基法16条(賠償予定の禁止)に違反・・・6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 労基法24条(賃金の支払)に違反・・・30万円以下の罰金

さらに、欠勤の電話連絡をしたときにセブンオーナーは「代わりを捜すように」と業務を命じています。この業務命令を受け、手を尽くして代わりに勤務する人を捜したようですから、これは事業場外労働になるのではないでしょうか。事業場外労働は、労働時間を算定し難いときは所定労働時間労働したものとみなす(労基法38条の2)ことになっていますから、所定労働時間であろうと思われる5時間分の4,675円を給料として加算するよう主張できる可能性があります。

労働基準法

(賠償予定の禁止)
第16条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

(賃金の支払)
第24条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

(事業場外労働)
第38条の2 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。

(制裁規定の制限)
第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。