前回の続きですが、お子さんの就職にあたり、戸籍謄本を提出させようとする会社が、身元保証書には保証人の「実印」を押し、さらに保証人の「印鑑証明」も付けるように要求しているそうです。親御さんにしてみれば、これっておかしくないですか?という思いだそうです。

おっしゃるには、最近は技術が進み、実印の印影からハンコを偽造できるようになっていて、印鑑証明とあわせて本人に成りすまして、こちらが知らない間に会社の他の契約の連帯保証人にされたり、高額な不動産や車を購入したりと、悪用される恐れがあるじゃないですか、とのことでした。

ホントそうですよね、本格的にブラックな企業だとそれくらいやっちゃうかもしれませんね、というやり取りになってしまいましたが、なぜそこまで会社が求めるのか、を考えてみました。

Google等の検索サイトで“横領”で検索すると、アッという間に数えきれないほどの横領事件がヒットしました。その中からここ最近の10件をまとめた一覧表を作ってみました。ouryou_sirabe001

こんなに頻繁に横領事件が発生し、マスコミで報道されているのですから、会社の経営者や管理者はこれについての対策を立てなければいけませんね。そうするとやはり、社員が横領等の事件を引き起こした場合のことを考えると保証人を付けてもらわなければ・・・・と、こうなります。

それじゃ、入社する人には身元保証書を出してもらおう、とこうなりますが、例えば親御さんが保証人になる場合、お子さんが勝手に親の名前を書いて認印を押して、会社に提出となる可能性があります。こうなりますと、保証人とされた本人が知らない間に締結された契約ですから、もし横領事件が発生し本人が損害を賠償しない(できない)場合に、会社が保証人に賠償を求めても応じてもらえない可能性が高いですね。

そうなると、どうしても身元保証書には保証人が自らその内容を理解し保証人自身が承諾したようにしなければなりませんから、実印を押して印鑑証明を付けてちょうだい、となるわけです。

こう考えていくと、会社が身元保証人に実印の押印、印鑑証明の提出を求めることが、心情的になんとなくわかるような気がします。なるほどそうではありますが、会社はその身元保証契約の内容及びその必要性について、身元保証人になろうとする人によくよく説明するべきでしょうね。そして、理解を得たうえで身元保証書等を会社に提出してもらうようにするのがよくないですか。また、そこまでやれば身元保証人になられる親御さんに信頼していただける会社ともなりえるでしょう。

どんな会社かも分からないところに、実印と印鑑証明を出すのは誰しもイヤですよね(オレなら出さない)。

身元保証ニ関スル法律  (昭和8・4・1・法律 42号)

第1条 引受、保証其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行為ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償スルコトヲ約スル身元保証契約ハ其ノ成立ノ日ヨリ3年間其ノ効力ヲ有ス 但シ商工業見習者ノ身元保証契約ニ付テハ之ヲ5年トス

第2条 身元保証契約ノ期間ハ5年ヲ超ユルコトヲ得ズ 若シ之ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ5年ニ短縮ス

2 身元保証契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得 但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ5年ヲ超ユルコトヲ得ズ

第3条 使用者ハ左ノ場合ニ於テハ遅滞ナク身元保証人ニ通知スベシ

一 被用者ニ業務上不適任又ハ不誠実ナル事跡アリテ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ惹起スル虞アルコトヲ知リタルトキ

二 被用者ノ任務又ハ任地ヲ変更シ之ガ為身元保証人ノ責任ヲ加重シ又ハ其ノ監督ヲ困難ナラシムルトキ

第4条 身元保証人前条ノ通知ヲ受ケタルトキハ将来ニ向テ契約ノ解除ヲ為スコトヲ得 身元保証人自ラ前条第1号及第2号ノ事実アリタルコトヲ知リタルトキ亦同ジ

第5条 裁判所ハ身元保証人ノ損害賠償ノ責任及其ノ金額ヲ定ムルニ付被用者ノ監督ニ関スル使用者ノ過失ノ有無、身元保証人ガ身元保証ヲ為スニ至リタル事由及之ヲ為スニ当リ用ヰタル注意ノ程度、被用者ノ任務又ハ身上ノ変化其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌ス

第6条 本法ノ規定ニ反スル特約ニシテ身元保証人ニ不利益ナルモノハ総テ之ヲ無効トス