いまだにあるんですね。戸籍謄本を提出させる会社・・・。お子さんの就職が決まった親御さんからのご相談でお聞きしました。

会社に応募したときに戸籍謄本を提出させたら職業安定法違反ですね。採用が決まって入社する際、戸籍謄本を会社に提出させるのはいいんでしょうか?『「公正な採用選考のために」(平成26年1月)埼玉労働局職業対策課』には、採用決定後のことについては触れられていませんが、『「公正採用選考人権啓発推進員研修資料」(平成26年1月)埼玉労働局職業安定部』には、“採否の決定と採用後”という項目で次のように述べられています。

「公正採用選考人権啓発推進員研修資料」(平成26年1月)埼玉労働局職業安定部』“採否の決定と採用後”

採用決定、入社後において、提出を求められている書類の中には、「本籍」の記入や、戸籍謄(抄)本、住民票等を求めている事例も見受けられます。従来の習慣として、画一的に提出を求めているようですが、現在の書類の内容を、いま一度総点検し、「本籍」「宗教」等、差別につながる、あるいは不要と思われる書式・内容のものについて早急に整理、改訂してください。

採用後の関係書類の記載については、労働基準法や労働安全衛生法に基づくものについても、「住民票記載事項の証明書」を備えれば足りることとされております。また、冠婚葬祭等に際して慶弔金等の支給について確認するため、住民票の写し等が必要となった場合は、その使用目的を本人に十分説明の上提示を求め、確認後は速やかに返却するようにしてください。

どうですか、今回お聞きした案件ですと、入社にあたって一律に戸籍謄本の提出を求めているようで、問題ありありですね。ホント、入社の際にどうして戸籍謄本が必要なのか?その会社には説明してもらいたいものです。

実際に不適正事象が発生した場合には、当該事業所事業主に対し管轄のハローワークが啓発指導を行うそうです。お子さんの就職についてご相談があった親御さんは、「戸籍謄本などの他にもいろいろ提出を求められ、何に使われるのかも不安でたまりません。市役所に相談しましたがウチでは何もできないと言われ、どこに相談して良いものかと途方に暮れています。」と申されていました。

逆に会社での実務としては、先に出たような冠婚葬祭等にかかる慶弔金や特別休暇付与の際に、事実関係を確認させてもらうことはあるでしょうね。それも見て確認したら返すのが筋ですよね。とっておいても意味ないでしょうし・・・。

それから実務的その2としては、職業安定法第5条の4(求職者等の個人情報の取り扱い)に係る指針(平成11年労働省告示第141号)にあるように、「本籍」の情報は収集してはなりませんが、“税金、社会保険の取り扱い等労務管理を適切に実施するために必要なものを除く”とされていることに注目しておきたいと思います。

磯野家の例でいえば、もし波平さんが離職して健康保険上、マスオさんの被扶養者となる場合、磯野家とフグ田家は同居していますが、世帯分離しているようですから、各々の住民票をとれば、同居していることは分かりますが、(名字が違いますから)波平さんがマスオさんの義父であることは分かりませんね。この場合は、戸籍を見るしかありませんから、戸籍謄本をとって会社を経由して保険者に提出します。

実際に日本年金機構に提出した書類が返戻されたときの通知では、戸籍謄本(90日以内に発行されたもの)は原本を提出しなければならないとありましたから、この場合はさすがにご本人に戸籍謄本をお返しすることはできません。しかし、先に書きましたように社会保険の取り扱い等労務管理を適切に実施するために必要なものを除く・・・ですから、これは許される範囲となりますね。

○労働者名簿等の記載について(抄)

(昭和五〇年二月一七日)

(基発第八三号・婦発第四〇号)(各都道府県労働基準局長、各都道府県婦人少年室長あて労働省労働基準局長労働省婦人少年局長通達)

労働基準法(昭和二二年法律第四九号)及び労働安全衛生法(昭和四七年法律第五七号)に基づく関係書類の記載に関しては、下記により取り扱うこととしたので、これにより関係事業主を指導するとともに、現在各事業場において使用中の関係書類についても、下記の趣旨に合致するものとするように関係事業主を指導されたい。なお、これについては、事業主団体を通ずる等によりその趣旨の徹底を図るほか、必要に応じて、都道府県等の協力を得て、下記の内容を周知するための説明会の開催、パンフレット等の作成・配布等の措置を講ぜられたい。

労働基準法関係

イ 労働基準法第五七条に定める年少者の年齢証明書については、戸籍謄(抄)本又は年少者の姓名及び生年月日を記載して本籍地を管轄する地方自治体の長が証明したもののほか、昭和四三年一〇月四日付け基発第六三六号。婦発第三二六号通達により、使用者が住民基本台帳法(昭和四二年法律第八一号)による住民票の写しを備えている場合には労働基準法第五七条違反としては取り扱わなくても差し支えないものとしているところであるが、今後は、これらに代えて、住民基本台帳法第七条第一号(氏名)及び第二号(出生の年月日)の事項についての証明がなされている「住民票記載事項の証明書」を備えれば足りること。なお、「住民票記載事項の証明書」(証明願)の書式については、別紙1を参考とされたい。また、その取扱いについては、昭和四三年三月二六日付け自治振第四一号「住民基本台帳法に関する質疑応答集について」(自治省行政局振興課長から各都道府県総務部長あて通知)の間一三(別紙2参照)にその見解が示されているので念のため。

ロ 削除

ハ 戸籍謄(抄)本及び住民票の写しは、画一的に提出又は提示を求めないようにし、それが必要となつた時点(例えば、冠婚葬祭等に際して慶弔金等が支給されるような場合で、その事実の確認を要するとき等)で、その具体的必要性に応じ、本人に対し、その使用目的を十分に説明の上提示を求め、確認後速やかに本人に返却するよう指導すること。

ニ 就業規則等において、一般的に、採用時、慶弔金等の支給時等に戸籍謄(抄)本、住民票の写し等の提出を求める旨を規定している事例があるが、上記イないしハまでの趣旨に則り、これらについても、可能な限り「住民票記載事項の証明書」により処理することとするよう、その変更について指導すること。